ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qを観て

公開から一週間近く経った11/23(金)、Qを観てきました。
事前に見かけてたネタバレ(見ても意味分からなかった)はこの二つくらい?

飲み会に一時間遅れていったシンジくんが
「今なんの話?」って輪に加わろうとしたら、「盛り下がるから黙っててくれる?」って怒られて
優しい友達が、「このギャグやればバカうけだよ」って気を使ってくれたんで
思い切ってやってみたら、「お前、それだけはやるなよ!」ってみんなに怒られて、
居酒屋の隅に寝っ転がって泣いてたら、友だちのアスカちゃんが「帰るわよ」って迎えに来てくれた話。

あと、金曜ロードショーでやってた冒頭6分38秒は2,3回通してみて、細かい部分を止めながら確認した、という感じの状態で観てきました。
以下、感想ともなんともつかないもの。
当然ながらネタバレ注意な感じなので、観てない人は逃げてー逃げてー!
パンフレットもさっき読んだので、観たけどパンフまだよって人も一応退避推奨?

私はシンジ君に感情移入してみる人なので、とてもしんどかったです。
レイがかわいくてしゃーないし、カヲル君が好きだし、ゲンドウは怖い。
序で「乗れるわけ無いよ!」って叫ぶシンジ君に「うんうんそうだよね、無理だよねー」って頷いて、破で「世界がどうなったっていい、でも綾波だけは!」と初号機を起動させたシンジ君に元気を貰った…ような記憶があるし、今回もヱヴァを見たら何か変わるんじゃないかって思ってた。
(破は2009年夏、つまり高三の色々切羽詰った時期の映画だったし、私を卒業させた様々な要素の一つだと思ってる。今、1時間くらいかけてHDDを漁ったけど残念ながら当時の日記が全然見つけられなくて、多分卒業に際してネット上でも多少の身辺整理をしているはずだから、その時にバックアップなく消しちゃったのかな…?とは思う。でも心当たりがあんまり無い。何処に書いたか思い出せないのが致命的。なんにせよ勿体無い。)
11/17の公開から七日目に観たので、「わけがわからない」「何度観てもわかるようになるものではない」というような評判や、「庵野はばか」という辛口コメントや、最初においたようなネタバレなの?わかんないよ?って思うような情報や、そういうものはあったけれど、それからは破からQへの流れがどうなったか分からないし、なんでみんなが「わからない」って言ってるのかも全然わからないし、触れた情報量の割にはニュートラルな期待と不安を適度に抱えた状態で観たと思うんです。

さっきも言ったように、私はシンジに感情移入して観ているので、もう最初から頭を殴られるような気持ちでした。
パンフで緒方さんがあんまり凹んでるから石田さんがアワアワしてた、というような話を読みましたが、まあ、そうなるよね、シンジの気持ちになればなるほど、と思うような話で。
破で、自分の意志で綾波を助けるって決めたシンジ君に救われる気持ちになったからこそ、その行動を冷たく否定されて、「あなたは何もしないで」って言われるのは耐え難いものに思えたし、14年で何があったのか、何故「何もしないで」って言われるかの理由も含め、なにもかもが全然説明されなくて、いきなりガラス越しに殴られそうになったりするのは理不尽だし、「なにかあったら命を取る」という宣告だけされた状態では、助けに来たっぽい綾波にここだ、って返事するのは普通でしょう。なんであんなにガキ、ガキって言われないといけないのか。
エヴァには乗るなって言われたけど、父さんはエヴァに乗れって言う。助けたはずの綾波はもう本を読まなくて、命令以外では何もしない、自分にとっての綾波ではない人だった。ネルフ本部は荒れ果てていて、世界は変わり果てていて、それが自分のせいだったって言われる。このあたりのシンジの気持ちは、たぶん私なんかの知ってるしんどさとは比べ物にならないんだろうと思うと、涙が出そうになった。
それくらいしんどくて、多分もう「お先真っ暗」っていうレベルじゃなく真っ暗なシンジに、カヲル君がどれほどの希望だったことか!上手下手じゃなくて、きもちいい音を出せばいいっていうのは、音楽に限らない言葉だったと思うのですが、その後のことを考えると、そうは言ってられないのが世の中なのかな、と暗い気持ちになります。
シンジがゆらゆらと歩きながら「エヴァには乗らんといてください」「エヴァに乗れ」「あなたはなにもしないで」「アンタには関係ない」を延々とぐるぐるさせている場面では呼吸が苦しくなったし、頭がガンガン鳴ったし、もしあれ以上あの場面が続いたら座っていられなかったと思う、観ていてあまりにしんどかった。
綾波を助けたかったはずが助けられなかった上に世界をぐちゃぐちゃにしてしまって、「世界を直そう」とカヲル君が持ちかけてきた話を信じて乗った結果としてカヲル君が死んでしまって。上げて落としてを繰り返されたシンジがまた立ち直るのか心配だし、アスカに引きずられるようにして立ち上がって、真っ赤な世界に小さな足跡を刻んでいく三人の後姿は心が痛んだ。

ネットで散見される感想っぽいものはだいたい、破からQでシンジが「昔のシンジに戻ってしまった」というようなことを批判的なかんじで言っていて、実際、人に大事なことを話してもらえないし、人の話もちゃんと聞けてないし、嫌な予感がするからやめようといったカヲル君に「君がやろうといったんじゃないか」みたいなことを言い返すあたりはとてもだめだなあと思ったけど、でも、それでも、(Qが破と連続した世界の話だとして)破のラストの気持ちを、今度こそカヲル君と世界を助けるんだって思った気持ちを、そういうものを砕かれたシンジだから。私はシンジを責められないし、責めたくないし、今度の作品でまた意志と希望を持てるのなら、それだけでもう十分立派だと思う。

観終わった後、なんとか立ち上がったけど呆然とするあまりコートの袖に腕が通せなくて、なんとかパンフは買ったものの通りに出たら顎がガチガチ鳴ってて(寒くないのに)、観る前はおなかすいてて「終わったら何食べようかなあ」って考えてたのにすっかり食欲も吹き飛んでて、惰性で食べ物を口に押し込んでは飲み込めなくて咳き込みながら無理やり飲み込んでたし、Qは人体に有害だね、というような話を一緒に観た友人にした。

感情的な面以外。
大塚明夫さんが出てらっしゃるのは喋った瞬間に分かったんだけど、クレジットで沢城さんの名前が出たときに「えっ誰だった?」って感じだった。
わからない用語がたくさんでてきたのは気になるけれど、まあ、次回作で分からなかったらその時はぶーぶー言おうかな?というような気持ち。わからない言葉は文脈から「たぶんこんなもんなんじゃないの」ってゆるく考えておく程度でいいって思っておく。完結してないものだし。
ラストでアスカが人間のことをリリンって言うのはやっぱりみんな結構気になるみたいで、エヴァの呪縛がどういったものなのか、判明するのをとても楽しみにしてます。
加持さんが一切出てこなかったのは死んでるからなのか、他所でコソコソするような仕事に明け暮れていたのか、とても気になるところ。
世界の解釈に関して、分岐してる世界だとか、notの有無が違う世界線が云々だとか、ループだとか、色々言われているけれど、そういうのは序破Qを観たところで判断できる状態ではないと思うし、好きに考える分にはいいけど、こうじゃなくちゃ、と思いつめたくないので、あんまり考えないことにした。Qみた人が世界線云々って言ってるのをみてシュタゲ乙と思った私がいました。
冬月さんが何故急にユイさんの話をしたのか、あれもゲンドウの思惑のうちなのか、それとも冬月さんの自主的な行動なのか。ユイさんの旧制が綾波になりましたね?というのもちょっと気になるところ。

キャラまわりの萌えっぽい話。
マリとアスカが数秒のずれに文句を言う程度には息ぴったりで、なるほど、マリアスだ!って言う人たちがいるのも頷ける。姫とコネメガネ、すごく良いです。呼びかたの温度差にちょっとにやにやします。
カヲルがシンジのことを考えて、考えて、考え抜いていた感じが、こう、安易に「ホモだー!」ってきゃっきゃと流していいレベルじゃなくて、母性というかなんというのか、ただただ、シンジのことを大切にしたかった気持ちに溢れていて。「今度こそ幸せにするんじゃなかったのかよ!!」って思ってしまいました。カヲル君がいなくなった世界で、これからもシンジが生きていけるとして、カヲルにもらった希望のことを思い出して、それを誰かに渡せるようになってくれたらいいと思います。

次回の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」に関しては、なんで急に「ヱ→エ」「ヲ→オ」になって「新劇場版」が「シン・」「劇場版」に分割されたのか、最後の記号はコロンと||なのか一つの記号なのかなど、色々気になることはありますが、名前がどうであれ、何かしらの前進や救いがあってくれればいいと思うし、たとえ完全なハッピーエンドにならなかったとしても、誰かが泣くことになったとしても、それで納得せざるをえないような話であってほしいと、私は思っています。

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